同社は、長年にわたり硬質クロムめっきを手掛ける専門企業。県内でも最大級の設備を誇り、特に複雑な形状の部品に対しても均一なめっき処理を施す高い技術力を有している。
これまで専門的な営業部門を置かず、既存の固定取引先からの受注に依存する経営を続けてきた。このため、新規案件は既存取引先からの紹介のみ(売上構成比約10%)であったが、紹介料が発生するため利益率を圧迫していた。また、硬質クロムめっきの国内市場が縮小傾向にあることに加え、下請け中心の事業構造に強い危機感を抱いていた。
そこで事業承継による社長交代を機に、受け身の経営から脱却し、自社の高い技術力を武器に攻めの営業体制を構築したいとの思いから、今後の進め方を整理するため相談を行った。
(1) 技術の棚卸しと自社の強みの明確化
営業戦略の策定にあたり、まずは自社の技術・設備・実績を客観的に評価する「技術の棚卸し」を支援。これにより、「県内最大級の規模」や「複雑形状への対応力」といった、これまで社内で明確に言語化されていなかったアピールポイントを再確認した。
(2) 営業戦略の策定とターゲットの絞り込み
明確になった強みを基に、注力すべき市場を分析。「主なターゲット」として【①鍛造金型、②油圧関係】を最優先とし、「ターゲットエリア」を【関東、東信北信、中越方面】に設定した。
(3) 技術提案を可能にする営業ツールの作成支援
ターゲット企業へのアプローチを想定し、技術力を効果的に伝えるための企画書(プレゼン資料)作成を助言。特に最重要となる製品情報や技術力の高さをアピールする資料の構成について具体的にアドバイスを行った。
(4) 具体的な営業活動計画の立案
これまで未経験だった【①展示会への出展、②ホームページの改善、③マッチングサービス(既存プラットフォーム)の活用】を具体的なアクションプランとして提案。企画書が準備でき次第、営業活動を開始する計画を立てた。
(5) 将来的な事業展開の具体化
将来的に進出したい分野として、「材質アルミニウムへの硬質クロムめっき技術」を確立し、「航空宇宙関連分野」へ進出するという長期的な目標を設定。事業の成長に向けた道筋を共有した。
(6) 目標設定と補助金活用の検討
「取引先リスト(既存、新規)」を作成し、年間売上や新規獲得顧客数といった具体的な目標を設定して効果測定を行うPDCAサイクルの導入を提案。計画の実行にあたり、補助金活用も視野に入れた事業計画への落とし込みをサポートした。
これらの取組の第一歩として、作成した営業ツール(技術説明書、会社紹介)を携えて初めて「関東5県ビジネスマッチング商談会2025」に参加。これまでPR経験がなかったにもかかわらず、自社の強みを的確にまとめた技術説明書は商談先の企業から高く評価され、具体的な引き合いにも含みを残した。この成功体験は、社長をはじめ社員の自信を深め、今後の本格的な営業活動に向けた大きな弾みとなった。
今後は具体的なアクションプランに沿って営業活動を展開し、各経営課題の解決を目指していく。


社長交代を機に、会社の将来に向けて何か新しい一手を打たなければと漠然と考えていましたが、何から手をつければ良いのか分からずにいました。今回、ご支援をいただき自社の技術を客観的に棚卸ししたことで、我々が当たり前だと思っていたことが実は大きな強みであると再認識できました。おかげさまで、ターゲットと進むべき道が明確になり、自信を持って新規開拓に挑戦する覚悟が固まりました。まさに「一目でわかる」自社の姿が見え、社員一同、新たな目標に向かって気持ちを一つにしています。心より御礼申し上げます。
代表取締役社長 久米 智子
| 住所 | 群馬県高崎市上里見町333-1 |
|---|---|
| 事業内容 | 硬質クロムめっき、各種研磨加工 |
| 従業員数 | 16名 |
| 代表者 | 久米 智子 |
| URL | https://www.sanko-hcr.co.jp/ |