同社は、乗馬用の鞍やブーツ等の革製品専門のクリーニング・メンテナンスという、独創的なビジネスを行っている。前社長の横山氏は当初、革製品洗浄と布団丸洗いを専門として、2010年に当社を創業したが、東日本大震災で布団丸洗いの委託先工場が被災、業務を革製品洗浄に絞るなかで乗馬用品というニッチな分野に目をつけた。
当時は鞍やブーツ等をクリーニング・メンテナンスする発想はなかったため、乗馬ファンや乗馬クラブからも喜ばれ、業績は順調に伸び、全国40の乗馬クラブと取引をするまでに成長した。
前社長の横山氏は70才の節目を迎え、アトツギがいない当社の廃業も考えたが、取引先の多くの乗馬クラブから引き留められたこともあり、地元高崎の商工会議所から紹介を受けた事業承継・引継ぎ支援センターに相談してみることにした。
一方、アトツギとなった現社長の柳下氏は、50代となりサラリーマン人生も終盤を迎える中、“自分が興味をもてるものへの新たなチャレンジ”を考え、事業承継・引継ぎ支援センターのHPで見かけた「後継者バンク」に登録をして、アトツギがいない会社の引継ぎを目指した。
横山氏にとって、奥様と2人で全国の乗馬クラブに車で出向き、デモをかねて出張修理を行うこの仕事はとても楽しいものだった。しかしユニークであるがゆえ、どこからどうやってアトツギを探したら良いのか戸惑いもあった。一人娘はアトツギにならず、奥様のほかに従業員もいない。商品・在庫・機材等の事業用資産もほとんどない身軽さから、“気軽に廃業できる”思いが常に頭にあった。
そんな中でセンターに相談したものの、話が進むには数年かかるだろうと思っていたところ、思いもよらず1か月程度で候補者の紹介を受けることになった。柳下氏と実際に面談してその人柄に触れたことで、「この人になら安心して引き継いでもらえる」という想いが芽生えた。
相談を受けたセンターの担当者は、「ニッチではあるがユニーク、横山前社長がとても楽しそうだった。この魅力が伝わるアトツギ候補者は必ず見つかる…」と直感。時を同じくして「自分が興味をもてるものにチャレンジしたい」という柳下さんの想いに接し、自分が受け止めた当社の魅力を伝えながらマッチングを行った。
柳下さんにとって事業承継は人生の一大転機、多少の逡巡はあったが、センター同席のうえで横山前社長と面談し、実際の仕事を見学するなどのステップを踏むことで、引継ぎの意向は徐々に固まっていった。
センターの後継者バンクに登録したことで、前職では出会うことがないようなユニークな事業を引き継ぐことになりました。私には乗馬経験がなかったので、最初はちょっと現実味に欠ける話にも思えましたが、業務内容にはすごく興味を持ち、よく検討した結果アトツギになることを決心しました。今後は横山さんが産みだしたビジネスを自分なりに工夫して、さらに大きく成長させていきたいと思います。
代表取締役社長 柳下 弘和
住所 | 群馬県高崎市小八木町1580-3 |
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事業内容 | 乗馬用品のクリーニングとメンテナンス関連商品の販売 |
代表者 | 柳下 弘和 |
URL | https://ridewell.jp/index.php ![]() |